account for
1. 基本情報と概要
英語: account for
品詞: 句動詞 (phrasal verb)
「account for」は、「(割合などを)占める」「(原因などを)説明する」という意味を持つ句動詞です。たとえば「売り上げの30%を占める」というときや、「原因を説明する、釈明する」というニュアンスで使われます。学習者の方には、account for 〜
は理由や割合を説明する際によく使われると覚えておくと便利です。
- 活用形: 句動詞なので通常の動詞
account
とfor
に分かれますが、account
自体は規則動詞なので、過去形はaccounted
、過去分詞もaccounted
となります。 - 他の品詞になる例:
account
は名詞・動詞でも使われます。名詞なら「口座」「勘定」「説明」など。動詞「account」で「説明する」という意味が単独でも使われることがありますが、特に「for」を伴って使われるケースが多いです。
CEFRレベル:
- B2(中上級)程度
- ニュアンスとしては、ある程度英語に慣れたレベルで、理由や割合を説明するときに頻繁に使います。多少専門書でも見かける表現です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- account + for
account
はラテン語由来で「数える」「計算する」「説明する」を意味する語根をもつ言葉とされています。for
は前置詞で、理由や目的、対価、方向などを示すことが多い語です。
詳細な意味
- (割合を)占める
・例:「Students account for 20% of the population.」(学生が人口の20%を占める) - (原因などを)説明する、釈明する
・例:「Can you account for your actions last night?」(昨晩のあなたの行動を説明できますか?)
関連語や派生語
- account (名詞): 「口座」「勘定」「説明」など
- accountable (形容詞): 「責任がある」「説明する義務がある」
- accountability (名詞): 「説明責任」
よく使われるコロケーションや関連フレーズ(10個)
- account for a large portion of … → 「…の大部分を占める」
- account for the difference → 「違いを説明する」
- be unable to account for … → 「…を説明できない」
- account for the discrepancy → 「不一致を説明する」
- fully account for … → 「…を完全に説明する」
- account for one’s actions → 「行動を釈明する」
- account for the missing funds → 「紛失した資金を説明する」
- historical factors account for … → 「歴史的要因が…の理由である」
- account for variance → 「(統計用語で)ばらつきを説明する」
- various factors account for … → 「さまざまな要因が…を引き起こす」
3. 語源とニュアンス
語源
- 「account」は、ラテン語の “computare”(計算する)を起源としています。計算する→説明する→責任を持つ、といった意味の幅が広がってきたものです。
ニュアンスと使用時の注意
- 「account for」は割合・数値を「占める」というニュアンスでも使われるため、新聞記事やビジネスレポートなどで頻出です。
- 「説明する、釈明する」という場合は、ややフォーマルでも使用される表現です。カジュアルな会話でも、「説明して」というニュアンスを伝える際に使われることがあります。
- ただし、「原因」を説明する意味合いが強いので、「結果」に対して「原因を説明する」という場面でよく使われます。
4. 文法的な特徴と構文
一般的な構文
A accounts for B.
→ AがBの割合を占める
例:Tourists account for half of the city’s population during summer.
A accounts for B (理由や原因).
→ AがBを説明する(Bの原因はAである)
例:Lack of funding accounts for the project’s delay.
イディオム・派生表現は少ないが、account
を使った別の形
on account of
→ 「…のせいで、…が原因で」、「…の理由で」という前置詞句
使用場面
- フォーマル: ビジネス文書、学術文書、報告など
- カジュアル: 口頭説明、友人同士の会話でも比較的使われる
他動詞・自動詞
- 「account for」は句動詞ですが、目的語(例: the missing money)が続く形をとります。
- 「account」は「説明する」(自動詞的に用いられることも)、「~とみなす」(他動詞)など、数種類の使い方がありますが、「account for」はほぼ「他動詞+前置詞」として使われ、目的語を「for」の後に取ります。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
Could you account for the mess in the kitchen?
(キッチンが散らかっているのはどうしてなの? 説明してくれる?)My expenses this month definitely account for why I can’t save any money.
(今月の出費は貯金できない理由をまさに説明しているよ。)These factors account for the sudden drop in temperature.
(これらの要因が気温の急激な低下を引き起こしているんだよ。)
ビジネスでの例文(3つ)
Online sales account for more than 40% of our total revenue.
(オンライン販売は当社の総収益の40%以上を占めています。)We need to account for the delay in shipping when we talk to the client.
(顧客に説明する際は、配送の遅れについても触れる必要があります。)Additional taxes account for the increase in our budget forecast.
(追徴課税が当社の予算見込みの増加を招いています。)
学術的文脈での例文(3つ)
Genetic predispositions may account for variations in disease susceptibility.
(遺伝的素因が疾病罹患リスクの差を説明している可能性があります。)Several socioeconomic factors account for the disparity in educational outcomes.
(いくつかの社会経済的要因が教育成果の格差の原因となっている。)These findings account for the discrepancy between the two experimental groups.
(これらの知見が、2つの実験群の差異を説明します。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- explain(説明する)
explain
は純粋に「コメント・解説する」という意味で使われる。account for
は「要因や責任をはっきりさせる」要素がやや強い。
- justify(正当化する)
justify
は「弁明する」「正当化する」という語感が強い。一方account for
は「理由を説明する」「釈明する」程度。
- clarify(明らかにする)
clarify
は「曖昧さをなくしてはっきりさせる」意味合いが強い。
反意語
- 明確な「反意語」はありませんが、「説明しない」「無視する」の意味を取るなら
ignore
やoverlook
が対照的といえます。
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA:
- アメリカ英語: /əˈkaʊnt fər/
- イギリス英語: /əˈkaʊnt fɔː(r)/
- アメリカ英語: /əˈkaʊnt fər/
- 強勢は
account
の第2音節「-count」に置かれるのが一般的です。 - アメリカ英語では「for」を弱く [fər] と発音し、イギリス英語では [fɔː] となる場合があります。
- よくある間違い: 「アカウント・フォー」と一つの単語的に発音してしまうなど。ネイティブは「アカウント」+「ファー(for)」をさらっと繋げて発音します。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: 「account」を「acount」や「accout」と書き間違えることがあるので注意。
account with
やaccount on
と混同する: 「for」以外の前置詞を使うと意味が通じなくなることが多い。- TOEIC/英検などの試験対策:
- ビジネス文章の読み取り問題で
account for
が「〜を占める」という意味で使われることがある。 - 報告書やプレゼンテーションの書き出し文などで出題されやすい。
- ビジネス文章の読み取り問題で
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「ある割合や理由をしっかり数える(count) → 説明する、占める」といったイメージで覚える。
- 「理由を数えて説明する」という語源イメージを持つと、「account for = 説明する」につながる。
- また、ビジネス文脈では「〜%を占める」と頻出表現なので、資料を作るときに
account for
を使うイメージで記憶すると便利。
以上が「account for」の詳細な解説です。ビジネスシーンから日常会話、学術的文脈まで、割合を示したり原因を説明したりと幅広く使われる重要な句動詞なので、ぜひ活用してください。
...の割合を占める
(出来事・状況)の原因となる, ...を説明する
(行動・状態など)を釈明する, ...の理由を説明する