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by far
解説
以下では、英語の表現 “by far” についてできるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
品詞・活用形
- “by far” は「副詞句(adverbial phrase)」として扱われます。
- 活用形は特にありません(句として常に同じ形で使われます)。
英語での意味
- to a great degree, very much(とても大きな程度で、非常に)
日本語での意味
- 「はるかに」「断然」「ずっと」など。
たとえば「彼はそのクラスで断然成績がいい」というときに “He is by far the best student in the class.” のように使われます。比較や最上級を強調したいときに便利な表現です。
CEFRレベルの目安
- B2(中上級): 比較級・最上級を自在に使い、ニュアンスの差を強調したい段階で活用できる表現。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- “by” + “far” という2語から成る表現ですが、まとめて一つの強調表現として機能します。
関連表現
- “far and away” も似たような意味で使われる表現です(“He is far and away the best.”)。
コロケーション(共起表現)例(10個)
- by far the best → 「断然最高」
- by far the most interesting → 「はるかにいちばん興味深い」
- by far the largest → 「群を抜いて最大の」
- by far the greatest → 「断トツに偉大な」
- by far more expensive → 「ずっと高価な」
- by far cheaper → 「はるかに安い」
- by far the easiest → 「断然簡単な」
- by far the most popular → 「圧倒的に人気のある」
- by far better → 「格段に良い」
- by far stronger → 「はるかに強い」
3. 語源とニュアンス
語源
- もともと “by” は「接近」や「差」を表す前置詞で、「far」は「遠い」を表す副詞・形容詞として使われてきました。これらが組み合わさった形で、対象との「差がとても大きい」というニュアンスを強調します。
使用時のニュアンス
- 「大差で」「とても大きな差をもって」という感覚を伝えます。
- 口語・文章、カジュアル・フォーマルの両方で使えますが、比較級や最上級を強調するときに多用されるため、フォーマルな文書でも自然に使えます。
4. 文法的な特徴と構文
比較級や最上級を強調
- “by far” は 比較級 (e.g., bigger, cheaper) や 最上級 (e.g., the biggest, the cheapest) を強調するために使われます。
- 例: “He’s by far the smartest in the group.”
- “by far” は 比較級 (e.g., bigger, cheaper) や 最上級 (e.g., the biggest, the cheapest) を強調するために使われます。
位置
- 通常、比較級・最上級を修飾する場所の前や後ろで使われます。
- 例: “This is by far the most important point.” / “This is the most important point by far.”
- 通常、比較級・最上級を修飾する場所の前や後ろで使われます。
可算名詞・不可算名詞との関係
- “by far” そのものは名詞を修飾しませんが、名詞につく形容詞の比較級や最上級を修飾します。
5. 実例と例文
ここでは、日常会話・ビジネス・学術的な文脈での例文をそれぞれ3つずつ示します。
日常会話
- “This pizza is by far the best I’ve ever had.”
(このピザは今まで食べた中で断然最高だよ。) - “That movie was by far more exciting than I expected.”
(あの映画は期待以上に断然面白かった。) - “Of all my friends, Lisa texts me by far the most.”
(友達の中でリサが一番たくさんメッセージをくれる。)
ビジネス
- “Our latest product is by far the most successful in the market.”
(弊社の最新製品は市場で断然成功を収めています。) - “This quarter’s revenue is by far higher than last quarter’s.”
(今期の収益は前期をはるかに上回ります。) - “Your presentation was by far the most persuasive at the conference.”
(あなたのプレゼンはカンファレンスの中で断トツに説得力がありました。)
学術的な文脈
- “The new findings are by far the most significant in recent studies.”
(この新しい発見は最近の研究の中でもっとも重要度が高いです。) - “This theory explains the phenomenon by far better than the older model.”
(この理論は、古いモデルよりもはるかにうまく現象を説明します。) - “Among the surveyed populations, Group A showed by far the highest rate of improvement.”
(調査対象の中でも、グループAがもっとも著しい改善率を示しました。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “far and away” → 「はるかに」「断然」
- 例: “He is far and away the strongest player on the team.”
- “by far” よりやや文語的に聞こえる場合があります。
- 例: “He is far and away the strongest player on the team.”
- “easily” → 「間違いなく」「圧倒的に」
- 例: “That’s easily the best deal we can get.”
- “by far” と同じく強調表現ですが、砕けたニュアンスで日常的に使われやすいです。
- 例: “That’s easily the best deal we can get.”
反意語
- 明確な反意語はありませんが、強調を打ち消す表現として “not at all”(まったく~でない)などが対照的といえます。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA)
- アメリカ英語: /baɪ fɑːr/
- イギリス英語: /baɪ fɑː/ (アメリカとイギリスで母音の長さが少し変わります)
強勢(アクセント)の位置
- “by” と “far” の両方に軽くアクセントが乗りますが、文の流れの中では “far” の方がやや強めに発音されることが多いです。
よくある発音の間違い
- “far” の /ɑː/ を短く /æ/ のように発音してしまう。
- “by” を「バイ」ではなく「ベイ」に近く発音してしまう場合があるので注意。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- “by far” を比較級や最上級なしで使うミス
- × “He is by far good.” → ○ “He is by far better.” (比較級を使う)
- × “He is by far the good.” → ○ “He is by far the best.” (最上級を使う)
- × “He is by far good.” → ○ “He is by far better.” (比較級を使う)
- “far” のスペルミスや “by” のタイポ
- “by” と “bye”や “bi” を混同しないように注意。
- 資格試験(TOEIC、英検など)
- “by far” はリーディングで比較や最上級強調のヒントとして出てくることがあります。文意を見逃さないようにしましょう。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「by」という前置詞が「差」を表し、「far」という単語が「遠く」というイメージだから、遠くに差が開いているほどかけ離れている=「はるかに」「断然」と覚えると記憶しやすいです。
- 例文と一緒に覚えるのがおすすめです。たとえば “He is by far the best.” や “This is by far more interesting.” といったフレーズを口に出して練習すると、自然に定着します。
以上が “by far” の詳しい解説です。比較級・最上級を強調するときに役立つ重要表現なので、ぜひ押さえてみてください。
意味のイメージ
意味(1)
《最上級・比較級の形容詞・副詞を強調して》はるかに, 断然, 圧倒的に