元となった辞書の項目
typhoid
解説
1. 基本情報と概要
単語: typhoid
品詞: 名詞 (一般的には不可算名詞として扱われることが多い)
CEFRレベルの目安: B2(中上級)
- 日常会話ではあまり登場しませんが、医学や健康関連の話題で出てくる専門性のある単語です。
意味(英語・日本語)
- 英語: An infectious bacterial disease (often referred to as “typhoid fever”) characterized by fever, abdominal pain, and rash.
- 日本語: 腸チフス(またはチフス熱)。サルモネラ・チフィ(Salmonella Typhi)という細菌が引き起こす感染症です。
「typhoid」は、発熱や腹痛、時にはバラ疹(体に赤い斑点が出る症状)を伴う感染症を指す言葉です。医療現場や健康関連の文脈で用いられ、日常的にはあまり使われませんが、海外渡航などで予防接種や衛生管理に関心があるときによく登場します。
活用形
- 名詞形: typhoid (通常 “typhoid fever” としても用いられる)
- 形容詞形: typhoidal(やや専門的・文語的)
他の品詞はあまり一般に使われませんが、「typhoidal」は「チフス性の」という形容詞として専門的文章中で使われることがあります。
2. 語構成と詳細な意味
- 語構成:
- typh-(おそらくギリシャ語の “typhos” = ぼんやりした状態、熱、あるいは「チフス」)
- -oid(「〜のような」「〜に似た」という意味の接尾辞)
- typh-(おそらくギリシャ語の “typhos” = ぼんやりした状態、熱、あるいは「チフス」)
もともと「typhus(チフス)」という病名から派生し、「〜のような」という -oid がついた形で「typhoid(腸チフス)」という疾患名となっています。
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- typhoid fever(腸チフス)
- typhoid outbreak(チフスの発生)
- contract typhoid(チフスにかかる/チフスに感染する)
- typhoid vaccine(チフスワクチン)
- typhoid carrier(チフス保菌者)
- typhoid epidemic(チフスの流行)
- typhoid infection(チフス感染)
- treat typhoid(チフスを治療する)
- typhoid immunization(チフスの予防接種)
- typhoid mortality(チフスによる死亡率)
3. 語源とニュアンス
- 語源: フランス語「typhoïde」から来ており、さらに遡るとギリシャ語の「typhos(熱・昏迷状態)」 + 接尾辞「-oid(〜に似た)」から生まれました。当初は「typhus(発疹チフス)」と似ている症状を持つことから付けられた名称です。
- ニュアンス: 「typhoid」は医学用語です。一般会話では「typhoid fever」というフル形で耳にすることが多いでしょう。カジュアルな場面で使われることは少なく、ややフォーマル・専門的な響きがあります。また深刻な病気なので、冗談で使われるような単語ではありません。
4. 文法的な特徴と構文
- 品詞・可算/不可算: 病名としての「typhoid」は不可算名詞として扱うのが一般的です。「a typhoid」とは言いません。ただし “typhoid fever” という言い方をする場合も “a fever” と同列には考えず、病名として-one unitの病気そのものを示します。
- 一般的な構文例:
- “He contracted typhoid while traveling abroad.”(海外渡航中に腸チフスにかかった)
- “The hospital is treating several typhoid cases.”(その病院ではいくつかのチフス患者が治療を受けている)
- “He contracted typhoid while traveling abroad.”(海外渡航中に腸チフスにかかった)
フォーマルな文書や医療報告などでは “Patients may develop typhoid symptoms within one to two weeks after infection.” のように使われます。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
- “I’m getting vaccinated before my trip because I don’t want to risk catching typhoid.”
(旅行前に予防接種を受けるんだ。チフスにかかりたくないからね。) - “My friend had typhoid last year, and it took him a month to fully recover.”
(友達が去年チフスにかかって、完全に回復するのに1か月かかったんだ。) - “They say typhoid is rare here, but it’s still good to take precautions.”
(ここではチフスは珍しいらしいけど、それでも用心するに越したことはないよ。)
ビジネスシーン(3つ)
- “Our company offers a specialized health insurance plan that covers typhoid treatment.”
(当社ではチフスの治療を補償する特別な医療保険プランを用意しています。) - “During the project in that remote region, we provided employees with typhoid vaccinations.”
(辺境地域でのプロジェクト中、従業員にチフスの予防接種を行いました。) - “Due to a recent typhoid outbreak, our travel guidelines have been updated.”
(最近のチフスの発生を受け、当社の渡航ガイドラインが更新されました。)
学術的な文脈(3つ)
- “The study examined the efficacy of a new typhoid vaccine among children in rural areas.”
(その研究では、農村地域の子どもたちにおける新しいチフスワクチンの有効性を調査しました。) - “Typhoid can be managed effectively with antibiotics, but resistance is an emerging concern.”
(チフスは抗生物質で効果的に治療できますが、耐性の問題が出てきています。) - “Annual reports reveal a significant decline in typhoid mortality rates over the past decade.”
(年次報告では、過去10年にわたりチフスによる死亡率が大きく減少していることが示されています。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語:
- enteric fever(エンテリックフィーバー)
- 腸管に関連する発熱。医療文献では「腸チフス」とほぼ同義で使われる場合がある。
- 腸管に関連する発熱。医療文献では「腸チフス」とほぼ同義で使われる場合がある。
- paratyphoid(パラチフス)
- チフスと類似の症状を持つ感染症。原因菌は異なるが、似通った病態を示す。
- チフスと類似の症状を持つ感染症。原因菌は異なるが、似通った病態を示す。
- typhus(発疹チフス)
- 名前が似ているが、病原体も症状も異なる別の疾患。発疹が出現するものの、サルモネラ菌ではなく、リケッチア菌が原因。
- enteric fever(エンテリックフィーバー)
反意語:
- 病名の概念における直接の反意語はありません。健康状態や「健康(health)」が対概念として挙げられる程度になります。
7. 発音とアクセントの特徴
- 発音記号 (IPA): /ˈtaɪ.fɔɪd/
- アクセント: 第一音節「ty-」に強勢があり、「TAI-foid」と発音します。
- アメリカ英語とイギリス英語: 大きな違いはありませんが、イギリス英語では /ˈtaɪ.fɔɪd/、アメリカ英語でも同じように発音されます。
- よくある間違い: /ˈtiː.fɔɪd/ と長音で発音してしまうなどのミスがあるので注意してください。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: t-y-p-h-o-i-d の「ph」と「oi」の部分でスペル間違いが起きやすいです。
- typhus との混同: 名称は似ていますが、原因菌も症状も異なるので区別しましょう。
- 冠詞: 一般に「a typhoid」という形では使わず、病名として「typhoid」単体、または “typhoid fever” というフレーズで使われることが多いです。
- 試験対策: TOEICや英検など、日常会話中心の試験では頻度は低めですが、医学系や読解問題で出題される可能性はあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「typhoid」を覚えるときは「typhus(発疹チフス)+oid(〜っぽい)」から「typhus に似た病気」というイメージで頭に入れておくと分かりやすいです。
- 「Typhoid Mary(チフスのメアリー)」という実在した無症状保菌者のエピソードは有名で、彼女が多くの人に病気を広めたことでニュースになりました。こういった歴史的エピソードとともに覚えると印象に残りやすいでしょう。
- スペリングは “typ + h + oid” と3つのブロックに分けて覚えると間違いにくいです。
以上が名詞「typhoid」の詳細解説です。医療や健康の分野で使われる専門性の高い単語ですが、歴史的なエピソードなどと併せて覚えると理解が深まり、記憶に残りやすくなります。
意味のイメージ
意味(1)
腸チフス