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de facto
解説
以下では、形容詞としての「de facto」をできるだけ詳しく解説します。
1. 基本情報と概要
英語表記: de facto
品詞: 形容詞(場合によっては副詞的に使われることもあります)
意味(英語): existing in fact, though not necessarily intended, legal, or accepted
意味(日本語): 「事実上の」「実質的な」
「de facto」は、「正式にそうと認められてはいないが、現実にはそうなっている」というニュアンスの単語です。法律的・公式的な立場ではないけれど、実際にはその状態であるという状況を表します。
活用形
- 形容詞としては基本的に変化しません。単数・複数ともに “de facto” の形のまま用いられます。
- 副詞的に使う場合もあり、「事実上」「実質的に」を表しますが、形は変わりません。
他の品詞の例
- 厳密には「de facto」はラテン語由来のため、形容詞・副詞以外に英語で固有の品詞変化(名詞形など)はありません。
- 「de facto government(事実上の政府)」といった形容詞的用法が一般的です。
難易度目安(CEFR)
- C1:上級
ニュースや専門書など、ややフォーマルな文脈で見かける単語です。日常会話というよりは公的文書やビジネス、法的な場面でよく用いられます。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- de: ラテン語で「~から」「~について」を意味する前置詞
- facto: ラテン語で「物事・事実」を意味する “factum” が語源
“de facto” は直訳すると「事実から(生じる)」といったニュアンスです。
関連/派生語
- de jure(デ・ジューレ): 「法的には」「法律上の」
- 「de facto」と対比して使われることが多いです。
よく使われるコロケーション(共起表現)や関連フレーズ(10個)
- de facto standard ⇒ (事実上の標準)
- de facto leader ⇒ (事実上のリーダー)
- de facto authority ⇒ (実質的権威)
- de facto relationship ⇒ (事実婚関係、実質的なパートナーシップ)
- de facto government ⇒ (事実上の政府)
- de facto control ⇒ (実質的な支配)
- the de facto situation ⇒ (事実上の状況)
- de facto power ⇒ (実質的権力)
- de facto segregation ⇒ (事実上の人種隔離)
- de facto monopoly ⇒ (実質的独占)
3. 語源とニュアンス
語源
- ラテン語 “de facto” は “de + facto” で「事実に基づいて」という意味です。法律の世界や政治分野などでも古くから使われ、英語圏でもラテン語表現として取り入れられてきました。
ニュアンス・使用上の注意
- 公式にはそうではなくても、実際に機能している・行われている場合を強調するときに使います。
- フォーマルな文章・法律関係文書・報道などでよく見られますが、カジュアルな日常会話では多用されません。
- 「公式には認められていない」という含みがあるため、政治や社会制度の分析などで使う際は注意が必要です。
4. 文法的な特徴と構文
- 形容詞的用法: 名詞を修飾して「事実上の~」「実質的な~」を表す。
例) He is the de facto leader of the group. - 副詞的用法(まれに): “He became the de facto ruler of the country.” のように、文全体に「事実上」というニュアンスを加える形でも使われます。
名詞・動詞との関係
- 「de facto」は数や時制の変化がなく、名詞を直接修飾する形容詞で、可算・不可算の別もなく、用法はわりと単純です。
5. 実例と例文
それぞれの文脈で例文を示します。
日常会話(カジュアル)
- “He’s kind of the de facto tutor of our study group.”
(彼はうちの勉強会では、事実上チューターみたいな存在だよ。) - “Though not officially appointed, she has become the de facto host.”
(正式に任命されたわけじゃないけど、実質的には彼女がホスト役だね。) - “They never married legally, but they’re in a de facto relationship.”
(法的には結婚していないけど、事実上は夫婦みたいなものだ。)
ビジネス
- “This software has become the de facto standard in the industry.”
(このソフトウェアは業界で実質的な標準となっている。) - “Mr. Smith acts as the de facto manager of the team, even though he’s not listed as one.”
(スミス氏は肩書きこそないが、チームの実質的なマネージャー役を果たしている。) - “Acquiring this patent gives them de facto control over the market.”
(この特許を取得することで、彼らは市場を事実上支配することになる。)
学術・フォーマル
- “His research established a de facto framework for further studies in the field.”
(彼の研究はこの分野における実質的な枠組みを確立した。) - “There is a distinction between de jure independence and de facto independence in international law.”
(国際法において、法的な独立と事実上の独立は区別される。) - “De facto segregation continued even after legal prohibitions were enacted.”
(法的に禁止された後も、事実上の人種隔離は続いた。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- actual(実際の)
- 「現に存在する」という意味が強く、より一般的な日常表現。
- 「現に存在する」という意味が強く、より一般的な日常表現。
- in practice(実際には)
- 「実際にはこうだ」を表すフレーズで、副詞的表現が中心。
- 「実際にはこうだ」を表すフレーズで、副詞的表現が中心。
- real(本当の)
- 日常的・カジュアルな表現。確かな事実であることを強調。
- 日常的・カジュアルな表現。確かな事実であることを強調。
- factual(事実に即した)
- 「事実ベース」という意味で、より客観的なニュアンス。
- 「事実ベース」という意味で、より客観的なニュアンス。
反意語
- de jure(法的には、法律上の)
“de facto” と対比されることが多く、「事実と法の対比」を表現する際によく使われます。
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA(アメリカ英語): /deɪ ˈfæktoʊ/
- IPA(イギリス英語): /deɪ ˈfæktəʊ/
アクセント・強勢
- “de” よりも “fac” の部分に強勢が置かれることが多いです。
- 発音上、”de” は「デイ」に近い音、”facto” は「ファクトウ」のように聞こえます。
よくある発音の間違い
- 「de」の部分を「ディー」と発音してしまうケース。
- ラテン語由来でつづりも特殊なので、まるまる「ディ・ファクト」にならないよう注意してください。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “de” と “facto” の間にスペースがあり、ハイフンなどは使いません。
- 「de jure」との混同: どちらもラテン語由来で混同されがちですが、意味は対照的なので注意。
- フォーマルな場での使用: 法律・政治・ビジネス文書などフォーマルな状況で用いられることが多い表現です。TOEICや英検などのビジネス系・法令系の文脈の読解問題で出る可能性があります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「de facto」を「事実に基づいて(from the fact)」と覚えるのがおすすめです。
- 「official(公式)」ではないけれど「reality(現実)」としてはそうだ、というイメージを結びつけると理解しやすいでしょう。
- 「de jure」と対比させて、「法律 vs. 事実」という概念で覚えておくと整理しやすくなります。
以上が「de facto」の詳しい解説です。法律や政治、ビジネス文脈でしばしば目にする表現ですが、形としてはラテン語のままで、正式にはそうではないが「現実はこうなっている」というニュアンスを伝える大切なキーワードです。実務文書や学術論文などでよく見かけますので、ぜひ使い方とセットで覚えてみてください。
意味のイメージ
意味(1)
事実上[の]