though
1. 基本情報と概要
単語: though
品詞: 副詞・接続詞(主に副詞的に使われる場合を中心に解説します)
CEFRレベルの目安: B1(中級)
- ある程度英語に慣れた学習者が、より自然な会話表現を習得する際に登場しやすい単語です。
意味(英語・日本語)
- 英語: though = “however,” “despite that,” “nevertheless”
- 日本語: 「しかしながら」「~ではあるけれど」「それでもなお」
- たとえば、「I like it, though.(それでも好きだよ)」のように、前の文に対して「でも」「だけどね」というニュアンスで付け加えたい時に使われます。カジュアルな会話では文章の最後につけることが多い単語です。
活用形
- 「though」は副詞・接続詞として形が変化しないため、活用形はありません。
他の品詞になった時の例
- 「although」(接続詞): 「~だけれども、~とはいえ」
※ “although” の方が文章中でよりフォーマルに使われる傾向があります。
2. 語構成と詳細な意味
語構成: 特に接頭語・接尾語が付かない単語です。短い一語で出来上がっており、派生形 “although” や “even though” などがあります。
よく使われるコロケーション・関連フレーズ(10個)
“It’s nice, though.”
- (それでも、いいじゃん。/でもいいね。)
“Strange as it may seem, though…”
- (奇妙に思えるかもしれないけれども……)
“I want to go, though.”
- (でも行きたいなあ。)
“They said it was expensive, though we decided to buy it.”
- (高いと言われたが、それでも買うことにした。)
“He looks happy, though.”
- (彼はでも、幸せそうだよ。)
“She was tired, though she kept working.”
- (彼女は疲れていたが、それでも仕事を続けた。)
“You’re right, though I still disagree on some points.”
- (君の言うことは正しいと思うけど、それでもいくつかは反対だ。)
“I’ll help you, though I’m busy.”
- (忙しいけど、手伝うよ。)
“He apologized, though a bit too late.”
- (彼は謝ったけど、ちょっと遅すぎたね。)
“It’s not easy, though. Are you sure you want to try?”
- (そう簡単じゃないよ。それでもやりたいの?)
3. 語源とニュアンス
語源:
- 古英語の “thēah” に由来し、“although” や “even though” と同じ系統を持っています。意味としては「それにもかかわらず」を表し、古くからの英語表現です。
ニュアンス:
- 会話の最後につける “though” は、英語圏の話し言葉で非常に頻繁に使われます。
- 文中・文末の “though” は、「だが」「けど」という軽めの逆説や追加のニュアンスを運ぶため、口語的でややカジュアル。
- 文章・文頭で使う場合(Conjunctionとして “Though 〜” の形)は、ややフォーマルにもなり得ます。
使用時の注意点:
- あまりにカジュアルすぎるとき、正式な文書や論文などでは “however” を使った方が好まれることがあります。
- カジュアルな場面(会話やメッセージのやりとりなど)ではしばしば文末に「..., though.」と付け加える形が自然です。
4. 文法的な特徴と構文
副詞として文末や文中で
- “It looks difficult, though.” (難しそうだね、でも。)
- 副詞的な “though” は口語表現として親しみやすい。
- “It looks difficult, though.” (難しそうだね、でも。)
接続詞として文頭や文中で
- “Though I was tired, I went to the party.” (疲れていたが、パーティーに行った。)
- この用法では、“Although” や “Even though” との置き換えも可能。
- “Though I was tired, I went to the party.” (疲れていたが、パーティーに行った。)
フォーマル / カジュアル
- フォーマル: “Although” を多用しがち。
- カジュアル: “though” を文末や文中に入れるのがよく見られる。
可算・不可算・他動詞・自動詞 など
- “though” はそもそも副詞・接続詞であり、名詞や動詞とは異なるので特に可算・不可算/自動詞・他動詞の区別はありません。
5. 実例と例文
(1) 日常会話での例文
“I’m so tired. I still have to do my homework, though.”
- (すごく疲れてる。だけど宿題はまだやらなきゃいけないんだ。)
“That cake was too sweet for me. It was pretty, though.”
- (あのケーキは私には甘すぎたけど、見た目はきれいだったよ。)
“You don’t have to come, though. I can handle it by myself.”
- (無理に来なくていいよ。自分で何とかできるから。)
(2) ビジネスシーンでの例文
“We have limited time. We can still finish the project on schedule, though.”
- (時間が限られていますが、それでも予定通りプロジェクトを終わらせることはできます。)
“Though the budget is tight, we managed to secure additional funding.”
- (予算が厳しいにもかかわらず、追加の資金を確保できました。)
“It was a challenging negotiation. We reached an agreement, though.”
- (厳しい交渉でしたが、それでも合意に至りました。)
(3) 学術的/フォーマルな文脈での例文
“Though previous research has highlighted this issue, further study is required.”
- (先行研究がこの問題を強調しているが、さらなる研究が必要である。)
“The findings are significant. Their scope is somewhat limited, though.”
- (その発見は重要である。しかしながら、その範囲はやや限定的である。)
“Though many scholars have debated this concept, consensus remains elusive.”
- (多くの学者がこの概念について議論してきたが、いまだに合意は得られていない。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- “However”(しかしながら)
- よりフォーマルで文章で頻繁に使う。文頭や文中で “However, …” の形が多い。
- よりフォーマルで文章で頻繁に使う。文頭や文中で “However, …” の形が多い。
- “Nevertheless”(それにもかかわらず)
- フォーマル。書き言葉に特に多用され、堅めの印象。
- フォーマル。書き言葉に特に多用され、堅めの印象。
- “Still”(それでも)
- 口語・文語どちらでも使えるが、意味合いとしては「なお、やはり」。
- 口語・文語どちらでも使えるが、意味合いとしては「なお、やはり」。
- “Even so”(たとえそうでも)
- 話し相手の主張に対して「そうだとしても」のニュアンス。
- 話し相手の主張に対して「そうだとしても」のニュアンス。
- “Yet”(しかし)
- 短く、文学的な響きがあり、ときに強調効果が強い。
反意語
- “Therefore” (それゆえに)
- 論理的につながりを示す逆方向の単語として挙げられるが、“though” の直接的な反意語ではありません。「逆説」対「結果・結論」の関係として捉えられます。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号(IPA):
- アメリカ英語: /ðoʊ/
- イギリス英語: /ðəʊ/
- アメリカ英語: /ðoʊ/
強勢(アクセント):
- “though” は一音節の単語なので、特に内部分割はありませんが、 /ð/ の発音、続く母音 /oʊ/ /əʊ/ をはっきり発音するよう注意が必要です。
- “though” は一音節の単語なので、特に内部分割はありませんが、 /ð/ の発音、続く母音 /oʊ/ /əʊ/ をはっきり発音するよう注意が必要です。
よくある間違い:
- /θ/ と /ð/(無声音・有声音)が混同されがちなので要注意。歯と舌の位置を意識しましょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “though” と “thought” を間違いやすい。
- “thought” は「考えた(think の過去・過去分詞形)」や「考え(名詞)」で、意味が違います。
- “thought” は「考えた(think の過去・過去分詞形)」や「考え(名詞)」で、意味が違います。
- “though” と “through” はつづりが似ているため注意。
- “through” は「通り抜けて」という意味の前置詞または副詞。
- “through” は「通り抜けて」という意味の前置詞または副詞。
- 文末に “..., though.” をつける使い方は非常にカジュアルである一方、TOEIC や英検などの選択肢としても見かけることがあるため、「逆接を表す副詞・接続詞」というポイントを押さえておくことが大切です。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “though” の発音と “door” の最初の音 “d” を合体したイメージ
/ð/ は下を歯の間に軽く出して「ズ」のように発音する。 - 綴りの最後「gh」は発音しない ことに注意し、「ソウ」や「ゾウ」程度に覚えておくと混乱が少ないです。
- 文末で「〜, though.」とドライに付け加えるイメージを頭において置くと、自然な話し方ができるようになります。
以上が、副詞・接続詞としての “though” の詳細な解説です。日常会話からビジネス、フォーマルな文脈まで幅広く使われる逆接の重要表現ですので、他の英語表現(especially “although,” “however,” “nevertheless”)と使い分けながら活用してみてください。