crack
以下では、英単語 crack
(動詞)について、できるだけ詳細に解説します。
1. 基本情報と概要
単語: crack
品詞: 動詞 (他に名詞・形容詞・副詞としても使われることがある)
活用形:
- 現在形:crack / cracks
- 過去形:cracked
- 過去分詞:cracked
- 現在分詞:cracking
意味(英語 & 日本語)
(1) to break or cause to break without complete separation(割れ目を入れる、ひびを入れる)
- 「表面にひびを入れる」「割れる」というニュアンスで使います。窓ガラスなどが物理的にひび割れを起こす場面や、卵を割るときに使われます。
(2) to solve a difficult problem or code(難問や暗号などを解読する)
- 「暗号やパズルを解読する」「困難な問題を解決する」という比喩的な意味で使います。この場合、「コツをつかむ」「突破する」というニュアンスを含みます。
(3) to make a sudden sharp sound(パキッと音を立てる)
- 音がはじけるように鳴る、という場面でも使われます。関節をポキポキ鳴らすときなどの表現です。
(4) to lose control emotionally(感情を爆発させる、崩壊する)
- 「もう限界に達する」「張りつめていた気持ちが崩れる」という表現。精神的な圧力に耐えきれずに「破裂」してしまうニュアンスがあります。
CEFRレベルの目安: B2(中上級)
- B2レベル:ある程度いろいろな場面に応用して使いこなせる語彙。頻度も高く、日常会話からビジネスシーンでも便利な単語です。
他の品詞としての例
- 名詞 (a crack):割れ目、隙間、砕ける音、冗談(口語)
- 例: There is a crack in the wall.(壁にひびがある)
- 例: There is a crack in the wall.(壁にひびがある)
- 形容詞 (crack ~):一流の、優秀な
- 例: He is a crack detective.(彼は一流の探偵だ)
- 例: He is a crack detective.(彼は一流の探偵だ)
- 副詞 (crack ~) はあまり一般的ではありませんが、「パキッと音を立てる」というような副詞的用法を目にすることがあります。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
crack
は、一語で完結しており、明確な接頭語・接尾語が付いているわけではありません。- 語源的にはゲルマン系の古英語などに由来し、「鋭い音を出す」「割れ目を生じる」という意味合いを持っていました(後述)。
派生語・類縁語
- cracker: クラッカー(食べ物やパーティー用のクラッカー)
- cracking: 形容詞的にも使い、「素晴らしい」という口語表現になることもある(主にイギリス英語)。
例: That was a cracking good movie!(あれは最高に面白い映画だった!)
よく使われるコロケーション(共起表現)・関連フレーズ(10選)
- crack the code
- (暗号を解読する)
- (暗号を解読する)
- crack an egg
- (卵を割る)
- (卵を割る)
- crack a joke
- (冗談を言う)
- (冗談を言う)
- crack under pressure
- (プレッシャーに耐えきれず精神的に崩壊する)
- (プレッシャーに耐えきれず精神的に崩壊する)
- crack the window
- (窓を少しだけ開ける)※「ひびを入れる」ではなく「少し開ける」意味の口語用法
- (窓を少しだけ開ける)※「ひびを入れる」ではなく「少し開ける」意味の口語用法
- crack one’s knuckles
- (指の関節をポキポキ鳴らす)
- (指の関節をポキポキ鳴らす)
- crack down on ~
- (~を厳しく取り締まる)
- (~を厳しく取り締まる)
- crack open a book
- (本を開く、勉強を始める)※口語でよく「本を開く=勉強する」の意味
- (本を開く、勉強を始める)※口語でよく「本を開く=勉強する」の意味
- crack up
- (大笑いする、笑いが止まらなくなる)
- (大笑いする、笑いが止まらなくなる)
- get cracking
- (すぐに始める、精力的に取りかかる)
3. 語源とニュアンス
語源
crack
は古英語のcracian
にさかのぼり、「鋭い音を立てる」や「砕ける」という意味でした。ゲルマン語群の動詞に共通する語根を持っているといわれています。
ニュアンス・使用時の注意点
- 「割れる」や「ひびを入れる」という物理的意味から転じて、「問題を解く」「冗談を言う」「時間を割く」など、さまざまな比喩的意味を持っています。
- くだけた会話では「笑いが止まらなくなる(crack up)」などの表現が頻繁に使われます。
- 「厳しく取り締まる(crack down on)」などはややフォーマルでもビジネスでも使用可能です。
- 名詞の「a crack」の場合は「トライする(give it a crack)」という口語表現もあり、「試してみる」のような意味で使われます。
4. 文法的な特徴と構文
動詞としての用法
- 他動詞 (transitive) として :
crack something
- 「~を割る」「~にひびを入れる」など。
例: I cracked the egg into the bowl. - 自動詞 (intransitive) として :
something cracks
- 「~が割れる」「破裂する音を立てる」。
例: The ice cracked under my feet.
イディオム
- crack down on ~ : ~を厳しく取り締まる
- crack up : 大笑いする、精神的に参る
- crack open : ~を開ける(特にボトル、卵、本などで、「パキッ」と開けるイメージ)
- have a crack at ~ : ~を試してみる(主にイギリス英語の口語表現)
フォーマル/カジュアル
- 「問題を解決する」や「厳しく取り締まる」はビジネスや公的文書でも使われます。
- 「crack up」や「crack open」は日常会話やカジュアルな場面でよく使われます。
5. 実例と例文
日常会話での例文(3つ)
“Could you crack the window, please? It’s getting a bit stuffy in here.”
- 「窓を少し開けてくれる?ちょっと空気がこもってきたから。」
“I nearly cracked up when he told that joke!”
- 「彼があのジョークを言ったとき、笑いが止まらなくなりそうだったよ。」
“I always crack an egg into my soup to give it more flavor.”
- 「スープに卵を割り入れると、いつも風味が増すんだよね。」
ビジネスシーンでの例文(3つ)
“We need to crack down on data leaks to protect our clients’ information.”
- 「顧客情報を守るために、情報漏洩を厳しく取り締まる必要があります。」
“Our tech team managed to crack the security code within an hour.”
- 「テックチームは1時間以内にセキュリティコードを解読することに成功しました。」
“Let’s get cracking on the project plan before the deadline.”
- 「締め切り前にプロジェクト計画に着手しましょう (すぐに取りかかろう)。」
学術的・専門的な文脈での例文(3つ)
“Researchers are trying to crack the genetic code of the virus to develop a vaccine.”
- 「研究者たちはワクチンを開発するために、そのウイルスの遺伝子コードを解読しようとしています。」
“The mathematician spent years attempting to crack this complex theorem.”
- 「その数学者は、この複雑な定理を解明するのに何年も費やしました。」
“Real-time data analysis software can crack massive datasets much faster than traditional methods.”
- 「リアルタイムのデータ解析ソフトウェアは、従来の方法よりもずっと早く膨大なデータを処理することができます。」
6. 類義語・反意語と比較
類義語
break(壊す / 壊れる)
- 物理的に完全に壊すイメージが強く、連想は“粉々にする”方向。
- crack は「ひびを入れる・部分的に割る」や「難題を解決する」など幅広いニュアンスがある。
- 物理的に完全に壊すイメージが強く、連想は“粉々にする”方向。
snap(ポキッと折れる / 音がする)
- より細いものが折れること、または感情の切れ目で「キレる」表現でも使われる。
solve((問題・謎などを)解く)
- crack の「謎を解く」意味と似るが、solve はよりフォーマル。crack は「突破」や「わかった!」のような軽快さを伴うことが多い。
decipher(暗号を解読する)
- crack the code と似るが、decipher のほうがややフォーマル・専門的。
反意語
- 物理的な反対語として明確な1単語はありませんが、「fix(修理する)」「mend(修繕する)」が crack の逆の動作・概念にあたります。
- 「暗号を解読する」の反意語としては「encipher(暗号化する)」「encrypt(暗号化する)」が挙げられます。
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA: /kræk/
- アメリカ英語・イギリス英語ともに /kræk/ と発音し、ほぼ同じです。
- 強勢(アクセント)は最初の母音 “cra” の部分にあります。
- 「ア」の母音が短く、口を大きめにあけて「クラッ(k)」と発音するのがポイントです。
- よくある間違いとしては、「クラック」ではなく「クラーック」と伸ばしてしまうケース。日本語で言うと短い「あ」+「っ」の感覚に近いです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペル:「crack」と「clack」や「track」と混同しないように注意。
- 同音異義語はありませんが、クラック(clack) と聞き間違える初学者がいます。
- TOIECや英検などの試験では、イディオム表現(crack down on, crack up, crack the code など)として問われることがあります。「問題文に矢印(→)があり、どう訳すか」などロイヤルティーチェックの出題を見かけることがあります。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- 「クラッ(短く、パキッという音)」を連想させ、物理的に“ひび割れ”をイメージすると覚えやすいです。
- 「謎にひびを入れて打ち破る」とイメージすると、「難題を解決する」の意味ともつながり、覚えやすくなります。
- 卵を「パカッ」と割る音、ガラスを「パキッ」と割る音から派生して、「コードを解読する」などの使い方をイメージすると多義な意味を結びつけやすくなります。
以上が、動詞 crack
の詳細解説です。物理的にも比喩的にも幅広い文脈で使われる便利な単語なので、ぜひマスターしてみてください。
…‘に'ひびを入れる
…'を'パチッと割る,砕く
…'を'パチッ(ビシッ)と鳴らす
…'を'ピシャリと打つ
〈声〉'を'かすれさせる,うわずらせる
《話》〈家など〉‘に'押し入る;〈金庫など〉'を'破る
《話》…'を'解く;〈暗号など〉'を'解読する
《話》〈冗談など〉'を'とばす
《話》〈酒びんなど〉'を'ポンとあけて飲む
〈石油〉'を'分解蒸留する
割れる,くだける;ひびがはいる
パチッ(ビシッ,バン,ガチャッ)と鳴る
〈声が〉かすれる;うわずる
(疲労・苦痛などに)参る,屈する