instill
以下では、英単語「instill」について、できるだけ詳しく解説していきます。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
- 英語: to gradually but firmly establish an idea or attitude in a person's mind; to pour in (liquid) drop by drop.
- 日本語: 「徐々に(考えや感情を)染み込ませる」「少しずつ浸透させる」「液体を少量ずつ滴下する」という意味です。
たとえば「子どもに礼儀や価値観を徐々に教え込む」ような状況で使われます。行為としては、相手の心や頭の中にゆっくりと何かを浸透させるニュアンスが強い単語です。
品詞・活用形
- 品詞: 動詞(多くの場合、他動詞として使われます)
- 主な活用形:
- 原形: instill
- 三人称単数現在形: instills
- 現在分詞/動名詞: instilling
- 過去形/過去分詞: instilled
- 原形: instill
他の品詞への変化例
- 名詞形: instillation (インスティレーション)
例: “the instillation of values”「価値観を染み込ませること」 - 形容詞形: instilled (過去分詞の形容詞的用法)
例: “instilled values”「教え込まれた価値観」
CEFRレベルの目安
- B2(中上級): 「instill」は日常会話では頻繁に出る単語ではないものの、文章表現やややフォーマルな会話ではよく使われます。B2以上を目指す英語学習者が押さえておくと便利です。
2. 語構成と詳細な意味
語構成
- 接頭語: in- (「中へ」「内に」のイメージ)
- 語幹: -still(もともとラテン語系の「滴らせる」「少量ずつ落とす」の意)
詳細な意味と関連性
- 「instill」は「少しずつ落とす(in- + still)」が転じて「徐々に植え付ける」という意味を獲得しました。
- よく使われる文脈:
- 自信や価値観、感情など、抽象的なものを「徐々に根付かせる」
- 医療や化学では、液体を少しずつ滴下する際に使われることもあります。
- 自信や価値観、感情など、抽象的なものを「徐々に根付かせる」
よく使われるコロケーション(共起表現)10個
- instill confidence(自信を吹き込む)
- instill fear(恐怖心を植えつける)
- instill discipline(規律を教え込む)
- instill a sense of responsibility(責任感を植え付ける)
- instill hope(希望を与える)
- instill trust(信頼を築く)
- instill good habits(良い習慣を身につけさせる)
- instill values(価値観を教え込む)
- instill in children(子どもたちに教え込む)
- instill loyalty(忠誠心を根付かせる)
3. 語源とニュアンス
語源
- 「instill」はラテン語の “instillare” に由来し、“in-” (中へ) + “stillare” (滴らせる) が結びついたものです。
- もともと「液体を少しずつ滴下する」という意味があり、そこから転じて「考えや気持ちを少しずつ入れ込む」という抽象的な使い方に広がりました。
ニュアンス・使用時の注意点
- 徐々に、時間をかけて相手の心のなかに何かを浸透させるイメージが強いです。
- 感情面ではポジティブなニュアンス(confidence, hope, trustなどを“instill”する)とネガティブなニュアンス(fearなどを“instill”する)の両方に使うことができます。
- フォーマル度合: ややかしこまった表現ですが、ビジネスや学術文脈、丁寧な文章でよく見られます。カジュアルな会話では「gradually teach」や「impart」などで言い換える場合もあります。
4. 文法的な特徴と構文
一般的な構文
- instill + 名詞 + in + 人/対象
例: “He instilled confidence in his students.” - instill + (感情や考え) + into + (対象)
例: “She instilled a sense of wonder into her children.”
他動詞としての使い分け
- 「instill」は多くの場合、何を/誰に「どういう感情や概念を」教え込むかの目的語が必要です。
- イディオム的に “instill (something) in (someone)” という構文が多いです。
フォーマル/カジュアル
- ビジネス文書や学術的文脈、エッセイなどフォーマルなシーンでよく使われます。カジュアルな会話でも使えますが、少し書き言葉的に響く場合があります。
5. 実例と例文
日常会話 (3例)
“My parents tried to instill good manners in me from a young age.”
(両親は私が小さい頃から礼儀作法を身につけさせようとしてくれた。)“I’m hoping to instill a love of reading in my little sister by sharing my favorite books.”
(お気に入りの本を共有することで、妹に読書好きになってほしいんだ。)“He wants to instill confidence in his new puppy by giving lots of praise.”
(たくさん褒めることで、新しい子犬に自信をつけさせたいと思っている。)
ビジネスシーン (3例)
“Our goal is to instill a customer-first mindset in all employees.”
(私たちの目標は、すべての従業員に顧客第一の考え方を徹底することです。)“By setting clear objectives, we can instill a sense of direction in the team.”
(明確な目標を設定することで、チームに方向性を持たせられます。)“The new manager aims to instill a culture of innovation across the company.”
(新しいマネージャーは、会社全体にイノベーションの文化を根付かせることを目指している。)
学術的・フォーマルな文脈 (3例)
“Educators should strive to instill critical thinking skills in their students.”
(教育者は、生徒たちに批判的思考力を身につけさせるよう努力すべきだ。)“Effective lessons can instill a lifelong passion for learning.”
(効果的な授業は、生涯にわたる学習への情熱を育むことができる。)“The experiments aim to instill an appreciation for scientific inquiry.”
(その実験は、科学的探究への理解と感謝を育てることを目的としている。)
6. 類義語・反意語と比較
類義語
- impart (与える、伝える)
- 日本語: 「情報や知識を伝える」
- 「具体的な知識や情報を伝える」というニュアンスが強く、“instill”よりもやや直接的です。
- 日本語: 「情報や知識を伝える」
- inculcate (教え込む、叩き込む)
- 日本語: 「しつこいくらい繰り返して教え込む」
- より押し付けがましい、あるいは繰り返しのイメージが強いです。
- 日本語: 「しつこいくらい繰り返して教え込む」
- implant (植え付ける)
- 日本語: 「中に埋め込む、植え付ける」
- 比較的物理的なイメージも強く、比喩的にも使われますが“instill”よりやや強い印象です。
- 日本語: 「中に埋め込む、植え付ける」
- ingrain (深く根付かせる)
- 日本語: 「根深く浸透させる」
- “instill”よりも定着度や根深さを強調します。
- 日本語: 「根深く浸透させる」
反意語
- eradicate (根絶する、取り除く)
- 日本語: 「根絶する、完全に取り除く」
- 日本語: 「根絶する、完全に取り除く」
- remove (取り除く)
- 日本語: 「排除する」
- 日本語: 「排除する」
- These verbs suggest the opposite action of “instill,” i.e., taking away or eliminating rather than gradually adding.
7. 発音とアクセントの特徴
- IPA: /ɪnˈstɪl/
- アメリカ英語・イギリス英語ともに、大きな違いはありません。
- アクセント(強勢)は「in-STILL」の後半にきます。「スティル」の部分をやや強調します。
- よくある発音ミス: “install” (/ɪnˈstɔːl/ または /ɪnˈstɑːl/) と混同しないように気をつけましょう。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “install” と “instill” を間違えやすいので注意してください(“a” と “i” の違い)。意味も全く異なります。
- 動詞形の活用: “instilled” (過去/過去分詞) として書く際に “double l” を忘れないようにしましょう。
- 同音異義語: とくにありませんが、「distill(蒸留する)」と見た目が似ているため混同に注意。
- 試験対策: TOEICや英検1級レベルなど、やや上級の単語問題や読解問題で出題されることがあります。文脈から「教え込む」という意味を読み取れるようにしましょう。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “instill” = “in” + “still”: 「内側にしたたるように滴り落とす」イメージ。考えや価値観を「しみ込ませる」イメージで覚えるとよいです。
- 「少量ずつ浸透させる」→ 「水がスポンジに少しずつ吸収される感じで相手の心に価値観を染み込ませる」イメージを描きましょう。
- 勉強テクニック: 「instill confidence」「instill values」というフレーズでセットで覚えると使いやすくなります。
以上が「instill」の詳細解説です。「instill」は徐々に考えや感情を根付かせるというニュアンスが強いため、ビジネスや教育、一般的なフォーマルシーンでも活躍する便利な語彙です。ぜひ例文やコロケーションと一緒に覚えてみてください。
(人・心に)〈思想・感情など〉‘を'しみ込ませる,教え込む《+名+into(in)+名》
〈液体〉‘を'1滴ずつたらす