extract
以下では、名詞の “extract” をできるだけ詳しく解説していきます。
1. 基本情報と概要
意味(英語・日本語)
- 英語: “extract”
- 日本語: 「抜粋」「引用部分」「抽出物」「エキス」など
名詞としての “extract” は、文章や音声などから一部分を抜き出した “引用部分” や、植物の成分などを抽出してできた “エキス” を指します。たとえば、本や論文の一節をまとめて紹介する時や、植物から香りを取り出した製品について話すときに使われる単語です。使い方によってはフォーマルにもカジュアルにも用いられます。
品詞
- 名詞 (noun)
活用形
名詞なので、通常は複数形に “extracts” となる場合があります。
例:
• a vanilla extract (単数形)
• two different herbal extracts (複数形)
他の品詞形
- 動詞 (to extract): 「~を抽出する」「引き抜く」「抜粋する」などの意味
- 活用形: extract - extracted - extracted - extracting
- 活用形: extract - extracted - extracted - extracting
- 形容詞形はありませんが、分詞形 “extracted” (動詞の過去分詞) が「抽出された、抜粋された」という形容詞的用法で使われることがあります。
CEFRレベル
おおむね B2 (中上級) レベル
B2は日常的な話題から少し専門的な話題まで広く対応し、やや複雑な文章を理解できるレベルです。
2. 語構成と詳細な意味
接頭語・接尾語・語幹
- 接頭語 “ex-”: 「外へ」「外に向かって」という意味
- 語幹 “tract”: ラテン語“trahere”(引っ張る、引き出す)に由来
これらが組み合わさって「外へ引っ張り出す」というイメージが生まれ、「抽出する」「抜粋する」などの意味につながっています。
関連する派生語や類縁語
- “extraction” (名詞): 「抽出」「抜粋」「抜歯」など
- “extractable” (形容詞): 「抽出可能な」
よく使われるコロケーション(共起表現)10選
- “extract from a text” (テキストからの抜粋)
- “plant extract” (植物エキス)
- “vanilla extract” (バニラエキス)
- “herbal extract” (ハーブエキス)
- “to produce an extract” (エキスを生産する/作り出す)
- “chemical extract” (化学的に抽出されたエキス)
- “short extract” (短い抜粋)
- “lengthy extract” (長い抜粋)
- “alcoholic extract” (アルコール抽出物)
- “flavor extract” (香料エキス / フレーバーエキス)
3. 語源とニュアンス
語源
- ラテン語の “extrahere” (ex-「外へ」 + trahere「引っ張る」) に由来し、「外へ引き出す→抽出する・抜き出す」のイメージが基本となっています。
ニュアンス
- 引用や参考文献などとして文中の一部を取り出すときに「抜粋」という意味で使われます。文章の一部を要約的に使うようなニュアンスがあり、学術的・フォーマルな文書でよく見かけます。
- 「抽出物」「エキス」という意味では、料理や香料、化学分野などで成分を凝縮した液体や粉末を指します。日常会話でも「バニラエッセンス」のような感覚で登場します。
- フォーマルかカジュアルかは文脈次第ですが、文献などの引用ではやや硬め、調理やコスメなどの成分表記では日常的に目にする場面が多い表現です。
4. 文法的な特徴と構文
文法的特徴
- 名詞として使用する場合、“extract” は可算名詞 (a/an, the, 形容詞 + extract) として扱われることが多いです。ただし「エキス」という意味で使われる場合は、状況によって不可算扱いされることもあります。
- 動詞の “to extract” は他動詞として「~を抽出する、取り出す」というときに用いられます。
一般的な構文・イディオム
- “to take an extract from …” - …から抜粋を取る
- “an extract of (or from) a book/article” - 本/記事の抜粋
文脈に応じて “from” と “of” が使われますが、現在では “from” が一般的です。
5. 実例と例文
ここでは、日常会話・ビジネス・学術的文脈に分けて、例文を3つずつ提示します。
日常会話
- “I added a bit of vanilla extract to the cake batter.”
- (和訳) ケーキの生地にほんの少しバニラエキスを加えたんだ。
- (和訳) ケーキの生地にほんの少しバニラエキスを加えたんだ。
- “Could you show me a quick extract from the video you mentioned?”
- (和訳) あなたが言っていたビデオの短い抜粋を見せてもらえない?
- (和訳) あなたが言っていたビデオの短い抜粋を見せてもらえない?
- “This herbal extract is supposed to help you relax.”
- (和訳) このハーブエキスはリラックスに効果があるらしいよ。
ビジネス
- “Please review this extract from the annual report before the meeting.”
- (和訳) 会議の前に、この年次報告書の抜粋に目を通してください。
- (和訳) 会議の前に、この年次報告書の抜粋に目を通してください。
- “We use a natural plant extract in our new skincare product.”
- (和訳) 弊社の新しいスキンケア製品には、天然の植物エキスを使っています。
- (和訳) 弊社の新しいスキンケア製品には、天然の植物エキスを使っています。
- “I’ve attached an extract of the contract highlighting the key terms.”
- (和訳) 契約書の重要事項が示された抜粋を添付しました。
学術的文脈
- “The researchers analyzed an extract of bacterial cells for further testing.”
- (和訳) 研究者たちはさらなるテストのために細菌細胞の抽出物を分析した。
- (和訳) 研究者たちはさらなるテストのために細菌細胞の抽出物を分析した。
- “In the appendix, you’ll find an extract from the original manuscript.”
- (和訳) 巻末付録に、オリジナル文書からの抜粋があります。
- (和訳) 巻末付録に、オリジナル文書からの抜粋があります。
- “We prepared a protein extract to study its properties under the microscope.”
- (和訳) 私たちはその性質を顕微鏡下で調べるため、タンパク質の抽出物を用意しました。
6. 類義語・反意語と比較
類義語 (Synonyms)
- “excerpt” (抜粋)
- より文学的・文書的に用いられ、文章や音声ファイル等の一部分を指す。
- より文学的・文書的に用いられ、文章や音声ファイル等の一部分を指す。
- “passage” (一節)
- 本や文章の一部分を指すが、あくまで「文の塊」を強調する。
- 本や文章の一部分を指すが、あくまで「文の塊」を強調する。
- “concentrate” (濃縮物)
- 特に液体やスープなどを濃縮したものを指す場合が多い。
- 特に液体やスープなどを濃縮したものを指す場合が多い。
- “essence” (本質・エッセンス)
- 「最も重要な部分」を強調するニュアンスがあり、より抽象的な場合にも使われる。
- 「最も重要な部分」を強調するニュアンスがあり、より抽象的な場合にも使われる。
- “distillation” (蒸留物、要点の摘出)
- 蒸留工程を経て抽出したものを表す場合が多い。
反意語 (Antonyms)
- “the entire text” (全文)
- “whole document” (文書全体)
- “unabridged version” (省略されていない版)
“extract” が「一部を抜き出したもの」を意味するのに対し、反意語は「すべてを含んだ状態」を示します。
7. 発音とアクセントの特徴
発音記号 (IPA)
- 名詞 “extract”: /ˈekstrækt/ (エクストゥラクト)
- アメリカ英語・イギリス英語ともに第一音節 “ex” が強く発音されます。
アクセントと違い
- 名詞形は第一音節にアクセント: “EX-tract”
- 動詞形は第二音節にアクセント: “ex-TRACT” (/ɪkˈstrækt/ や /ekˈstrækt/)
よくある発音の間違い
- 動詞と名詞でアクセント位置が異なるため、動詞のアクセント位置で名詞を誤って発音するケースがあります。
- “ex-tract” (動詞) / “ex-tract” (名詞) と発音し分けるのがポイントです。
8. 学習上の注意点・よくある間違い
- スペルミス: “extract” は “exstract” のように余計な “s” を入れてしまうミスが起こりやすいです。
- 同音異義語との混同:
- “exact” (正確な) と混同しやすいので要注意です。
- 大文字や小文字が似ていると、見間違いも起こりがちです。
- “exact” (正確な) と混同しやすいので要注意です。
- 動詞との発音の違い: 名詞なのに動詞のアクセントで発音してしまうミスに注意。
- 資格試験などでは、文脈から「一部抜粋」「エキス」「抽出物」のいずれの意味なのかを判断させる問題が出題されることがあります。文章全体から意味をつかめるようにしましょう。
9. 記憶に残るヒントやイメージ
- “ex” + “tract” = “out” + “pull” というイメージで、「何かを外へ引っ張り出す(取り出す)」と覚えると定着しやすいでしょう。
- 名詞でも動詞でも使われる単語ですが、名詞と動詞でアクセントが変わる点をしっかり区別するとミスを防げます。
- スペリングは “ex” と “tract” をイメージすると「ex + tract = extract」と覚えやすいです。
- 料理好きの方は「バニラエキス(vanilla extract)」を思い浮かべると単語のイメージが湧きやすいかもしれません。
以上が、名詞 “extract” の詳細解説です。文章や音声からの一部抜粋や、植物から抽出したエキスなど、複数の文脈で使われる便利な単語なので、ぜひ活用してみてください。
〈U〉〈C〉(自然の物質から調製した)濃縮液,精,エキス
〈C〉(文学作品からの)引用句,抜粋《+from+名》